夏バテ対策

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  監修薬剤師 對馬 千沙都

  作成日: 2024年7月4日

夏が近づくと、気温の上昇とともに体調を崩しやすくなる「夏バテ」に悩まされる方も多いのではないでしょうか。夏バテは、室内外の温度差による自律神経の乱れや、水分・ミネラル不足、睡眠不足などが原因で引き起こされる体調不良の総称です。
今回は、夏バテの対策と治し方について、症状チェックや生活習慣のポイント、市販薬の紹介も交えながら詳しく解説します。

夏バテの症状と原因

夏バテの症状は多岐にわたりますが、以下のようなものが一般的です。

・食欲不振
・倦怠感
・頭痛
・めまい
・不眠
・下痢や便秘
・吐き気

これらの症状が続くと、日常生活に支障をきたすだけでなく、免疫力の低下にもつながります。まずは自分の体調をチェックし、夏バテの兆候がないか確認しましょう。
夏バテの原因には以下のようなものが考えられています。

室内外の温度差

気温の高い屋外と冷房の効いた屋内を行き来するなどして、激しい温度差を繰り返し感じると、自律神経が乱れてしまい、胃の働きが低下して食欲不振や胃もたれが起こったり、頭痛、疲労感などのさまざまな症状が表れます。

冷たいものの摂りすぎ

暑いからといって冷たい食べ物や飲み物を摂りすぎてしまうと、お腹が冷えて胃腸の働きが悪くなり、消化不良や下痢などの胃腸の不調につながります。

水分・ミネラル不足

暑さにより過剰に汗をかくと、水分やミネラルが不足し、電解質のバランスが崩れて倦怠感などの症状が表れることがあります。

睡眠不足

夜間の気温が高すぎると寝つきにくくなったり、眠りが浅くなったりして睡眠不足になることがあります。睡眠により日中の疲労を回復することができないと、倦怠感などの原因にもなります。

夏バテを予防・改善するには

まずは、日常生活で実践できる夏バテ予防・改善のポイントを紹介します。これらの生活習慣を取り入れることで、夏バテになりにくくしたり、夏バテを改善したりすることが期待できます。

バランスの取れた食事

夏は冷たい麺や水分中心の食事が多く、栄養が偏りがちです。夏バテ予防のためには、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。特に、タンパク質やビタミンB1、ミネラル（ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど）を多く含む食品を積極的に摂取することが大切です。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換するのを助ける働きがあり、疲労回復に役立ちます。豚肉、玄米、大豆などに多く含まれます。

また、お腹を冷やしすぎないよう、冷たい食べ物や飲み物はほどほどにして、温かい食べ物を意識して選ぶよう心掛けましょう。
暑さで食欲がないときには、食欲増進効果のあるスパイスを取り入れるのもおすすめです。

適度な運動

適度な運動を行うことで、体力を維持し、代謝を促進します。運動はストレスを軽減するのにも効果的です。暑い時間帯を避け、朝や夕方の涼しい時間にウォーキングや軽いジョギングなどを取り入れてみましょう。

十分な睡眠

良質な睡眠は体の回復に不可欠です。エアコンを適切に使用し、快適な睡眠環境を整えることが重要です。

こまめな水分補給

夏場は汗をかくことで体内の水分とミネラルが失われやすいです。こまめな水分補給を心がけ、スポーツドリンクなどでミネラルも補給しましょう。

これらの生活習慣に気を付けても夏バテになってしまった場合は、症状を和らげるために、市販薬を活用するのも一つの方法です。
以下に、夏バテによる症状改善に役立つ市販薬をいくつか紹介します。

ただし、症状が重くつらい場合や症状が長引いている場合は、違う疾患が隠れていることもあるので、病院を受診するようにしてください。

医薬品のご紹介

滋養強壮剤

夏バテで疲れやだるさを感じるときには、滋養強壮効果のある栄養剤がよいでしょう。

ユンケル黄帝ゴールド：動物性生薬としてハンピ、植物性生薬としてニンジンやイカリソウ、ニクジュヨウ、ゴミシ、サンシュユが配合されています。特に、ニンジン流エキスを1,000mg配合しており、疲れて食欲がない時の栄養補給や、胃腸が弱い人などの滋養強壮・栄養補給に適しています。

キューピーコーワ ゴールドα：複数の滋養強壮生薬やビタミンが配合されており、肉体疲労時や食欲不振時の栄養補給に使用できます。

薬用養命酒：14種類の生薬が溶け込む薬酒で、肉体疲労や食欲不振のほか、胃腸虚弱や冷え症の場合の滋養強壮に使用できます。

胃腸薬

夏バテで食欲がないときや胃の不調を感じるときには、胃腸薬に頼ってみるのも一つの手段です。

第一三共胃腸薬 細粒s：２種類の消化促進成分に加え、胃粘膜修復成分、胃酸調整成分、6種の健胃成分がバランスよく配合されており、食欲不振時の胃の消化を助けて胃腸の働きを活発にします。

太田胃散 分包：7種の健胃生薬と、制酸剤、消化酵素が配合されており、食欲不振や胃の不快な症状を改善します。

大正漢方胃腸薬錠剤：弱った胃を温め活発にする安中散と、胃の過度な動きや筋肉の緊張を和らげる芍薬甘草湯の組み合わせにより、胃の調子を改善します。

漢方薬

補中益気湯：疲労や倦怠感があり食欲も落ちているときに、胃腸の働きを高めて体力を補う漢方薬です。

六君子湯：胃腸が弱って食欲がなく、胃もたれや食欲不振が強い方に適しています。

人参養栄湯：冷えが強く、疲労や食欲不振がある方に適しています。消化機能を整え、血の巡りを改善します。

まとめ

バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、水分補給を心がけ、夏を元気に乗り切りましょう。
必要に応じて市販薬を上手に取り入れることで、夏バテの症状を改善することができます。体調に合わせて適切な方法を選び、健康な夏を過ごしてください。